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004.「モモ」というなぞなぞを解く意味について

 「モモ」という物語が、単なる人間の時間について語られた物語ではなくて、私たちが生きている資本主義社会について語られた物語であるということになると、この物語は私たちの現実的な社会について、何か関係があるお話なのかな?という気もしてきます。

 というのは物語の中で少女モモは、人間の時間をぬすんでいる時間どろぼうと対決し、その戦いに勝って、ぬすまれていた人間の時間を解放しているからです。

 もしかしたら「モモ」の物語の中で描かれている、時間とお金の不思議なつながりを読み解くことで、私たちは、この数十年ますます激しさを増している、息もつけないような熾烈な競争社会から抜け出して、物語の中で描かれていたような、人間の時間がたっぷりとあって、みんなが楽しく暮らせる社会が作れるようになるのかも知れません。

 おもしろいことにエンデは「モモ」の物語のあとがきの場面で、とても不思議なことを書いています。

(引用始め)
 わたしが長い旅に出ているときのことでした(今でもその旅はまだ続いていますが)。ある夜、わたしは汽車でひとりのきみょうな乗客とおなじ車室にのりあわせました。きみょうと言ったのはほかでもありません。そのひとがおよそ年齢のさっぱりわからない人だったからです。
(引用終わり)

 エンデは「モモ」のお話を、このなぞめいた旅行者から聞いて書いたのだとしています。そしてこの人は、もっとなぞめいた言葉をエンデに言っていて、エンデはその言葉を読者に伝えたかったと言うのです。その言葉は本当に、とても不思議なものでした。

(引用始め)
 「わたしはいまの話を、」とそのひとは言いました。「過去に起こったことのように話しましましたね。でもそれを将来起こることとしてお話ししてもよかったんですよ。私にとっては、どちらでもそう大きな違いはありません。」
(引用終わり)

 エンデの世界はファンタジーの世界なので、私の印象にはたしかな根拠などありません。でも人間が、時間どろぼうにぬすまれていた時間を取りかえせるということが、未来のどこかで起こるとしても、おかしくないという気持ちがしませんか?

 そしてこの不思議ななぞなぞのヒントは、私たちがまだ一度も見たこともない、どこか世界の遠くにある、見知らぬ何かにあるのではなくて、私たちが毎日使っているお金と、時間の関係の中にあるかも知れないと思うのです。

(資料は岩波書店「モモ」ミヒャエル・エンデ作、大島かおり訳を使用しました。)

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