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株式会社と労働者の賃金

 資本主義社会の仕組みについて、少しずつ整理をしていきたいと思います。はじめは「株式会社」についての理解です。

 「株式会社」とは何か?ということを知ることは、とても大切です。これがわからないと、私たちには社会のいろいろな現象が不可解なことに思えます。
 株式会社とは何かがわかれば、世の中で起こっているいろいろなことが、かなりわかります。

 
例えば資本主義社会では、労働者は一生懸命働いても、どうももらっているお給料が十分でないような気持ちがするわけですが、その理由がわかるようになってきます。

 
株式会社の基本を整理します。

 株式会社とは、「新しい事業を始めたいけれど、お金がない」という人に、お金を出してあげる仕組みです。お金を出すのはもちろんお金持ちです。普通の貧乏人には出してあげるお金はないからです。

 いくらお金持ちでも、事業を始めたい人が計画している事業の規模によっては、お金持ちひとりでは、出しきれないことがあります。新しい事業はうまくいくかどうかはわかりませんので、ひとりであまりにお金を出し過ぎると、失敗した場合に大損をしてしまう危険も出てきます。それで複数のお金持ちが、「お金を出し合う」ということになってきます。

 お金を出す時の約束は「貸してあげる」のではなくて、「出資」です。出資というのは、「出してあげたお金は、別に同じ金額を返してくれなくてもかまわない。事業が失敗してしまった場合には、返してもらえなくてもしかたがないだろう。その代りもしも事業で儲かったら、その儲けはお金を出し合った比率に応じて、お金を出した人たちに払ってほしい」ということです。この時のお金が配当です。

 事業を始めたい人はそういう約束でお金を出してもらい、人を雇って事業を始めます。この時に雇われるのが労働者で、事業を始める人は経営者です。

 
これが株式会社を構成する3つの立場で、出資者と経営者と労働者です。

 
この時、お金があるのは出資者であり、経営者と労働者にはお金がありません。経営者と労働者は事業をとおして、お金をもらう必要があります。そうでないと経営者と労働者は生きられません。一方出資者は、もともとお金持ちです。

 出資するお金というのは、とりあえずは生活費には使わない、出資者にとっての「余っているお金」です。事業は成功するか失敗するかわからないのですから、生活費を使うわけには行きません。いちおう失っても、まだだいじょうぶというお金で出資します。

 この時の出資者と経営者と労働者の関係は次のとおりです。

 出資者は「自分のお金を経営者に預けて、お金を儲けてもらい、自分のお金をもっと増やしてもらう人」です。
 経営者は「出資者の財産であるお金を預かって事業を経営し、出資者のお金を増やしてあげて、その報酬をもらう人」です。
 労働者は「経営者に雇ってもらって働かせてもらい、生きていくのに必要なお金をもらう人」です。

 
経営者と労働者は一生懸命働いて事業を行います。出資者はお金を出した後は、時々会社を見張るぐらいです。

 
ある程度経営をして、お金を儲けます。
 
儲けたお金は、「さてどう分けるか?」です。

 労働者としては、「儲けたお金は、一生懸命働いた経営者と労働者で分けようよ♪」と言いたいところです。でも最初の約束はそうではありません。「儲けが出たら、出資をした人たちに分ける」のが約束です。

 そうすると労働者には、ちょっとした賃金しかあげられません。労働者の賃金を高くすると、事業の儲けというものが減ってしまいます。
 
そうなると出資者の取り分が減ってしまい、出資者のお金はあまり増えなくて、経営者もお金を増やしてあげた報酬が減ってしまいます。

 
労働者の賃金を上げることは、出資者にとっても経営者にとっても、喜ばしいことではないのです。

 というわけで、労働者はどれほど一生懸命働いても、あまりお金持ちにはなれません。もともとそういう仕組みなのです。

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