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現実が先?、簿記が先?

 簿記というのは、現実の経済活動を数値化して、表現する行為だと思います。

 簿記自体は、単なる記録ということなので、別に企業の活動の記録に限定されないし、おそらくいろいろな経済主体の活動について、実践できることなのだと思います。

 ところが「会計」となると、話は違います。

 会計というのは、財産の運用をまかされた人が、財産の運用をまかせてくれた人に対して行う「説明」だからです。(この定義は、慶応義塾大学の友岡賛先生の考え方をもとにしています。)

 そうするともともとの行為が、「財産の運用」なのだから、どうしても「運用の結果を良くする」という、方向性が生まれると思います。

 「財産を運用する」ということは、最初はある量だったお金を、もっとふやそうとすることです。その新しく増えていく分とは、企業の利益の、一部です。この利益を最大化しようとするのが、企業の活動です。

 そして利益というのは、自然の世界に存在するものではありません。財務諸表の中にだけ、数字として表れる差額です。

 ところがこうなると、私は不思議に思ってしまいます。

 というのは簿記上に現れる金額というのは、本当に決まっているお金の金額もあるけれど、人間の感覚で測定したり、人間の話し合いで決まる金額があるからです。

 「金額」というのは、「物の重さ」というような、自然科学の世界のように、はっきりと測定して示せるものではありません。自然の世界のものには、最初から値札がついているものなど、何ひとつありません。自然の世界のものに値段をつけるのは、人間です。

 人間が自然の世界のものを測定して、金額という数字をあてはめるのだと思います。

簿記はそうやってあてはめられた数字をもとにして、企業の財務諸表を作ります。利益は財務諸表の中に現れ、一部が財産を運用した経営者と、財産の運用をまかせた株主のところに移動します。

 企業の活動が、もしも「財産の運用」という状況を抱えていなければ、企業は財務諸表の中に利益を見出す必要はないと思います。

 企業が利益を見出す必要がない時、売り上げたお金の一部は、企業の継続のために企業の中に残しておくとしても、残りはすべて仕入先への支払いと、従業員の賃金にすることが可能になります。

 企業は財務諸表の中に利益を生み出し、出資者に配当する必要があるから、仕入先への支払いを値切り、従業員の賃金を低く抑えます。

 でも財務諸表の中に現れる利益というのは、数字の世界の中だけに現れる「差額」に過ぎません。

 どうして単なる数値上の世界にしか存在しない利益のために、現実の世界で働いている仕入先への支払いや、従業員の賃金が削られなくてはいけないのか?と思います。利益など、ただの数字上の差額でしかないではないか?と思います。

 利益は金額で表されます。でも「お金」というものは、もともとただの数字です。金属で表現されようが、紙に書かれようが、電子マネーで表現されようが、結局はただの数字です。

 どうして、ただの数字が、現実の世界で本当に働いている仕入先への支払いや、従業員の賃金を押し下げようとするのでしょう?

 数字など、現実の世界においてパン1つ生産することもできないのに。

 現実の経済活動を写しとっているはずの簿記の方が、いつの間にか、本当に現実の世界において経済活動を行っている人間の活経済動に手をのばして、現実の経済活動の方を動かしてはいないでしょうか?

 この世界に存在する便利なものは、すべて人間が作ったものであり、簿記はその活動を数値化して写し出す影のような存在だったはずです。それなのにどうして、いつのまにか簿記の方が、人間の経済活動を振り回しているのでしょう?

 数字は人間に従うべきものなのに、どうして反対に人間を動かしているのでしょう?

 お金と簿記は人間が作ったものなのに、どうして、人間の方が動かされてしまっているのでしょう?

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