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投機をやめてみるという実験

 経済学の世界では時々、生活者である庶民が、キツネにつままれたような気分にさせられてしまうことがあると感じます。

 2月26日の朝のことでした。NHKで「ニュース深読み」という番組を放送していました。

 その日は穀物価格の変動がテーマでした。出演者は環境学者の川島博之さん、経済学者で、トレーダーでもある茅野信行さん、書道家の武田双雲さん、それからタレントの八田亜矢子さんほかの方々でした。

 私が見始めたのは、投資家が未来の天候変動や他国の経済状況を予測して、その結果各自の投資行動を決め、さらにはその結果として穀物の価格が変動する、という説明が終わったあたりでした。

 説明を聞いていた武田さんが、そうした穀物価格の変動による、貧しい国の人々への影響を気にして話題に出しました。

 テレビを見ていた私としては、「これはおもしろくなった」と思いました。

 大学のスクーリングで経済学入門の講義を受講した時、どうしてかその場所では、世の中の貧困問題というものは、話題にしてはいけないような雰囲気がありました。

 テレビ番組の中では、どうなるのでしょう?

 見ていると武田さんも八田さんも、話題が食べ物の価格であるだけに、貧しい国の人々のことが心配そうです。

 それに対して経済学者さんの反応は、少し関心が薄い感じです。

 そのうちに八田さんが、ものすごいことを言いだしました。

 「いっそ食べ物への投機は、しばらくやめてみたらどうですか?」という意味のことを言ったのです。

 私は思わず、テレビの前で拍手をしてしまいました。ステキなアイデアだと思います。

 その後、経済学者さんの方から、「投機と穀物価格変動の因果関係は、はっきりしていない」というお話がありました。

 どうやら「だから投機を禁止するわけにはいかない」という論理になるようです。

 「?」

 なんとなく、キツネにでもつままれたような気分です。

 というのはその数分前に、投資家の行動によって穀物の価格は変動するという、価格変動の仕組みの説明があり、その場にいた人たちが納得した後だったのです。(…)

 少し、考えてしまいました。

 経済学は、社会科学の中の1科目であるのだから、やはり論理的でなければいけないのではないでしょうか?

 数年前に受講した社会学入門のプリントとノートを開いてみました。たしか「社会科学」についての説明がありました。

以下は、私のノートからの抜粋です。

・社会科学とは「社会を研究する諸科学」(政治学、経済学、法律学など)

 ・(「科学」というからには、)論理性と検証可能性が必要。

社会科学と自然科学との違い:社会科学には(研究する)主体も、(研究される)客体も、同じ人間であることから、生じる問題がある。

(中略)

 ・日常生活において生活者が解釈したことを、社会学者が自分たちの解釈図式、パラダイムでさらに解釈。(生活者の解釈を、解釈する。「解釈の解釈」である。)

 ・(自然科学と比べて)実験が難しい。

以上、抜粋終わり。

 社会科学は、論理的であるはずです。

 ところが番組の中で、投機による価格変動の仕組みをわかりやすく説明し、普通の生活者がすっかり納得してしまった後で、経済学者が「投機と穀物価格変動の、因果関係ははっきりしていない」と主張するというのは、論理的でないと思うのです。

 もしも経済学者がそのように主張をするのであれば、先に説明された「投機によって穀物価格は変動する」という説明を、しっかり否定してみせてから、「因果関係があるとは言えない」と言うべきだと思います。

 そうすれば、テレビを見ている一般の生活者も、「ああ、先ほどはあのように説明されたけれど、それならば投機と穀物価格の変動は、それほど因果関係はないのだ」と、納得できます。そして「それなら投機をやめる必要は、ないのかな?」と、思えます。

 そうしたプロセスもなく、「みんなが買いたいと思えば、価格が上がる」という説明の後、「でも投機と、穀物価格の変動の因果関係ははっきりしていないのだから、投機をやめる必要はない」と話を運ばれてしまうと、普通の生活者はおかしな気分になります。

 結局、穀物価格が変動する原因は、投機が関係あるの?、ないの?、どちらなの?

 でも仕組みを考えてみれば、どう考えても、経済学者ではない普通の生活者が考えてさえ、投機は関係がありそうです。

 何か、モヤモヤする。

 別に出演していた経済学者さんを批判したいわけではありません。「投機をむやみに禁止するべきではない」という経済学者の主張は、ほかにも見かけます。

 ただ、「いっそ投機ををやめてみたら?」という八田さんの発言には、番組の中では軽く受け流されてしまったものの、経済学の世界に実験を発想するような、新鮮な明るさを感じました。

そして、経済学の世界に時々感じさせられる、キツネにつままれたようなモヤモヤ感に、スパッ!と切りつけたような強さもあって、気持ちが良かったと思うのです。

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