« 2013年10月 | トップページ | 2013年12月 »

2013年11月

「平野正樹写真展 After the Fact」より

 「平野正樹写真展 After the Fact」ではいろいろな、昔のお金や国債、株券、保険証券などが展示されてありました。写真はその中のひとつで、株券です。(1981年発行のものです。図録をさかさまにして撮影しました。)

13043___3

 私はこの時まで「株券」というものを見たことがありませんでした。

 

 簿記の資格を取った時に「株券」という言葉については知りましたが、私が経済に関心を持つようになった頃にはすでに、電子化されていたように思います。

 

 はじめて見る「株券」は、とても新鮮に思えました。

 

 ただの電子情報ではなくて、きちんと形が存在している株券です!

 

 平野正樹写真展では、その写真がなんとB0サイズ(1030×1456mm)で展示されています!!!

 

 まじまじと見つめてしまいました。

 

 見ていて驚いたのは、昔の株券は手形のように「裏書欄」を持っていたのだということです。

 

 今まで考えたこともなかったことですが、もしかして昔の株券というのは、所有者が変わるたびにいちいち、裏書譲渡をしていたのでしょうか?

 

 もしもそのようなことをしていたのだとしたら、昔の株の売買というのは、ずいぶん悠長な時間をかけて行われていたのでしょうか?

 

 大変不思議に思いました。

13043___2



 こちらの写真は金買入証書です。

 

 1938年に制定された国家総動員法に基づく金属類回収令によって、金属類の事実上強制買い上げがあり、マンホールの蓋から家庭の蚊帳の釣り具までと、とにかくいろいろな金属類が回収されたのだそうです。(もの知らずな私は、このこともまた知りませんでした。)

 

 写っているのはずいぶん汚れた、きたらならしい紙ですが、写真家さんがアートとして旭日旗と同色の背景を置いてあり、その対象性はかえって印象的に思えました。(実際の写真はもちろん、もっと美しい色をしています。)shine

 

 証書の文字を読んでみると、右端には縦書きで「長期戦!!! 金デ銃後ノ御奉公!!!」と書いてありました。

 

 わずかな文字数の中に「!!!」と、3つのエクスクラメーション・マークのセットが2回も出てくるという、大変感情的な文です。sign03

 

(まるで私がブログで書く文みたい?)

 

^^;

 

 証書内の表の中には買い上げられた金属の品名、個数、金額などが記入されてありました。

 

 読みにくい文字をなんとか読んでみると、「時計」、「純金鎖」、「指輪」などと書かれてあるようです。

 

 背景には敵の様子をうかがっているかのような、兵隊さんたちの後姿。

 

 家庭の鍋釜やアクセサリー類、お寺の鐘までがただの金属として強制的に回収されてしまったという時代。

 

 戦争のために、生活の道具を回収されてしまうのも困ったことですが、同時にまた、いろいろな思い出なども込められていたであろうアクセサリー類を回収されてしまうということも、ずいぶん悲しいことだったであろうと思います。ring

 

 この証書からは、ものものしい時代の雰囲気が、ありありと伝わってきました。

 

 こうして見てみると、このような過去のお金や証券類からは、ずいぶんいろいろな情報が得られるものだと思います。shine

| | コメント (0) | トラックバック (0)

平野正樹写真展 After the Fact  (2013/11/9まで)

131105_211619

お金の写真の展示ということで、「平野正樹写真展 After the Fact」に行ってきました。

 場所は埼玉県東松山市にある、丸木美術館です。

 

 実際に展示を見る前は、お金の写真といっても、それはちょっとしたパネル程度の大きさの写真だろうと思っていました。

 

 だからきっと私の方が、写真に対して覗き込んで行く状態になるだろうと思っていたのです。

 

 ところが実際に写真展を見てみたら、驚きました。

 

私の目の前には、はばが新聞紙の両面を大きく広げたぐらい、いやそれ以上?

 

それほど大きなお金の写真が、並んでいたのです…。sign03

(あとで確認したところ、サイズはB0で1030×1456mmだったそうです。)


 その結果展示室に入った私は、少しも覗き込むという必要もなく、写真の中のお金と相対する形になりました。

 こうなると、写真の中のお金の印象は、ガラリと変わります。

 

 そこにあるお金は、かつては人間の手によって、しっかりと握られ、人から人へと渡っていた、小さな紙ではなく、私に向かってはっきりと自己主張をしてくる、やたらと騒々しく、「おしゃべりなお金」という存在になったのです。

 

 私が覗き込まなくても、その表面に書かれてある文字や内容は、向こうから私の視界に飛び込んできます。

 

 写真の横にはそれぞれ説明もあり、それらのお金や債券などが発行された時の状況がわかります。

 

 そういった、昔のお金と対話をしているような感覚は、大変面白いものでした。

 

 話には聞いていた軍票、それから株券、国債など。

 

 そして珍しいものでは、証紙貼付日本銀行券。(新しいお金に切り替える時に、新しいお金の印刷が間に合わなかったので、従来のお金に証紙を貼って、新しいお金として使えるようにしたものだそうです。)

 

 はじめて見るものがたくさんあります。

 

 私がお金の歴史をもっとよく勉強してあれば、それぞれのお金たちの「主張」がどれほど面白く、また見どころのあるものであったかと思います。

 

 また気持ちを切り替えて、心をちょっと切り離し、今度は写真の中の「無言のお金」として、展示室を見渡してみれば、まるでそこにいるお金たちは、「かつては自分たちが、散々人間を振り回してきたものさ。いろいろあったものよ」と、自慢げに私に語りかけているようにも思えます。

 
そしてもっと心をオフにして、並んでいる写真を見てみれば、それはかつて生きていた、(今も生きているものもありますが、)今はもうその力を失っている、単なる「お金の抜け殻」です。

 
人間がその価値を認めることによって、お金としての価値を持つお金となり、人間がその価値を認めなくなることによって、まったく同じ紙なのに、今度はお金としての価値を失う、不思議な「お金」という存在と出会う。shine

 

 こうした感覚を楽しめる展示は、めったに見られるものではないと思います。

 

 「平野正樹写真展 After the Fact」は、11月9日(土)までです。

 

 今日を含めてもあと4日ですが、ご興味のある方はぜひお出かけください。shine

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年10月 | トップページ | 2013年12月 »