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「細雪」、戦争、そして女性に愛されたことのない男たち

 11月11日のNHKの「歴史秘話ヒストリア」で、谷崎潤一郎が取り上げられていました。

 

http://www.nhk.or.jp/historia/backnumber/264.html

 

 「痴人の愛」、「春琴抄」、…。

 

 私には眩暈がしそうな世界です。

 

 どうして女性にたいして、あのような奇妙な感情を持つのでしょう?

 

 そうした女性観を持つように至った作家の幼少期と、その母親との関係は、いったいどのような心象のものだったか?

 

 谷崎自身の個性についても思いますが、同時にその、女性に対する奇妙な感情の原型となったと思われる、母親との関係についても、思いをはせずにはいられませんでした。

 

 その谷崎の作品は、3度目の妻となった松子さんとの生活が始まってから、違う世界を写し出します。

 

 「細雪」は、刺激ではなく、穏やかで、そして華やかな、女性たちの個性による美しさが、それこそ満開の桜の花のように描かれている作品です。shine

 

 谷崎にとってはそれほどに、妻である松子さんとその妹たち、そして松子さんの娘さんとの生活が、楽しいものだったのではないかと思われます。

 

 昭和18年、華やかな物語である「細雪」の連載を始めた谷口ですが、時代は戦時下に入り、軍部によって連載が禁止されてしまいます。

「贅沢は敵」とされる時代に変わっていたのでした。

 

 発表の場を失っても、谷崎は密かに書き続けました。

 

 自分が愛を持って見ていた女性たちが、穏やかに四季折々を楽しんで生きていた時間を、綴っていたのです。

 

 戦争によって激しく破壊されていく世の中と、あまりにも対照的な「細雪」の世界。

私は、ため息をつかずにはいられませんでした。

 

 「細雪」という作品には、女性を「美しい存在」として見る価値観があります。shine

 

 四姉妹の個性ははっきり書き分けられ、それぞれがひとつひとつの花であるかのように、その美しさを表し、過ぎゆく時間の中を生きています。

 

 作家の目は、そうした女性たちを見つめることに、大きな幸福を得ていたと思うのです。

 

 ところが時代の方は、女性たちに悲しく辛い思いをさせ、美しさを破壊する時代に変わっていくのでした。

 

 戦争中は、人命を粗末に扱う、愚かな時代でした。

 

 たくさんの女性たちが、悲しみに泣きました。

 

 戦争を引き起こした男たちには、女性の美しさを大切にする心がありませんでした。

 いつの時代でも、戦争を好む男たちの女性観というものに、私はひとつの特徴をとらえます。

 

 それは、彼らには、普通の女性たちが自然に備え、愛する誰かに伝えていくような、「生命への慈しみ」という心がないということです。

 そのためなのか、彼らにとっての女性という存在は、敬意を持つような存在ではないようです。

 

 彼らにとっての女性は戦利品であり、欲望の対象であり、労働力であり、人口を増やすための道具であり、とにかく、大切にいとおしむという存在ではありません。

 

 そうした男たちは平気で、女性の美しさを破壊します。

 

 幸いな話として、日本の現代の多くの男性は女性に優しく、女性を大切にしています。

 

 とりわけ、性格まで本当に優しい男性は、まるで大切な花でも守るように、女性を温かく見つめては、その存在の美しさを愛おしんでくれるものです。

 

 その目の奥に見えるのは、どう見ても、かつての「優しいお母さんから、たくさん愛されてきた、幸せな男の子」の心でしょう。shine

 大好きなお母さんに愛されて、優しくなれない男の子など、いるでしょうか?

 

 戦争を引き起こすのは、そうしたお母さんからの優しい愛に恵まれず、優しさを学べずに育った男たちではないかと思うのです。

 

 あるいは女性や母親から愛されても、生命への慈しみを持たない、冷たい女性から愛された男たちだったかもしれません。

 

 美しかった、たくさんの日本の女性たちをモンペ姿に変えてしまい、竹やりを持たせた、哀れな男たち。

 

 異国で、たくさんの美しい女性たちを傷つけてきた、愚かな男たち。

 

 日本の、たくさんの優しい母親を悲しませる方向に、国を導いた哀れな男たち。

 

 戦争指導者とはある面で、「女性に愛されたことのない哀れな男」のことだと、私は思うのです。thunder

 
それは、今だって…。

 

 戦争だけではありません。

 

 経済政策だって誤れば、多くの女性に粗末な服を着せ、くたくたに疲れるほどの労働をさせては、笑顔を破壊してしまいます。

 

 政策の誤りが、女性の美しさを、壊してしまうのです。

 

 映画の「細雪」の世界は、大変美しいものでした。

 

 男性が、女性を美しくいさせてくれる社会とは、愛のある豊かな社会だと思います。shine

 

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