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黒田総裁はどうして物価の上昇を起こせなかったのか?

 日銀の黒田総裁は、大規模な金融緩和をもう3年も続けていますが、物価の2%上昇を達成することができません。

 

 物価の上昇が、良いことであるのかどうかはさておいて、このことについて、どうして物価が上昇しないのか、説明を試みてみたいと思います。

 

 実を言いますと、私の中ではこのことに対する答えは以前からありました。

 

 でもそれは言葉で表現しても、インパクトのない表現になってしまうので、あえて書こうという気持ちにもなれませんでした。

 

 ところが最近ある本に出会ったことで、かなりはっきりとした表現が見つかりました。

 

 ちなみにその本というのは、こちらです。

 

 この本の内容が、経済学の世界で正しいと考えられていることかどうかはわかりません。

 

 でもとりあえず、この本の著者は私と同じように、実物経済とマネー経済が、まったく別の種類の経済であるという認識を持っています。(著者の言葉では「金融経済」です。)

 

 先にその部分の説明を書きますと、実物経済とマネー経済は、同じ「お金」を使って、取引(お金の所有者の移動)がされていても、その取引の内容はまったく違います。

 

 実物経済は、財やサービスを持っている人から、別の誰かに財やサービスが提供される時に、お金は財やサービスと反対の方向に動きます。

 

 つまり財やサービスと、お金が「交換」されます。

 

 そして交換された財やサービスの方は、必ず消費されるか、あるいは減価を起こします。

 

 実物経済は、生産と交換と消費の流れの一部であり、人間の生存を支える経済です。

 

 ところがマネー経済の世界では、お金の所有者が変わる時、財やサービスとの交換は起こりません。

 

 そもそも財やサービスの生産ということも起こりません。

 

 マネー経済はただ、人間の世界の習慣や約束ごとに従って、お金の所有者が変わるだけという経済です。

 

 実物経済とマネー経済の違いは、それぞれの世界に実体のある財やサービスが存在するか、しないかです。

 この認識が、経済学の世界で一般的なものか、どうかは私にはわかりません。

 

 でもこの2種類の経済の違いというものが、ミヒャエル・エンデが言うところの、「パン屋のお金とカジノお金」というほどの違いであることは、私にもわかります。

 

 「パン屋のお金」は、財やサービスを生産した結果による経済です。

 

 それに対して「カジノのお金」とは、財やサービスの生産と関わりなく、ただお金だけがその所有者を変えていく経済です。

 

 そこで、黒田総裁の話に戻りますと、黒田総裁は金融緩和は続けていますが、緩和したお金がこの2種類の経済ネットワークの、どちらに流れて行くのかをまったく考慮していません。

 

 黒田総裁の理論では、金融を緩和すれば、自動的にそのお金は実物経済に流れ込み、物価を上昇させるものだと考えられているようです。

 

 でも実際には、日銀から緩和によるお金を受け取る民間銀行は、その後に実物経済にお金を送るか、マネー経済にお金を送るかの選択が可能です。

 

 そして実物経済の世界には、実体のある財やサービスが存在しているため、そこには、実際に財やサービスの移動が進行する時の速度が存在しています。

 

そのために、その速度以上のお金は、いくら緩和をされても吸い込むことができないのです。(このことはまた、別の機会に記事にします。)

 

 そのため、緩和によるお金を受け取った銀行は、実物経済にお金を送ることはできず、マネー経済に送って、ひとつの企業としての利益を上げるよりほかにありません。

 

 物価が上昇しないのは、緩和されたお金が実物経済に入っていないためです。

 なぜなら物価というのはモノの値段のことであり、財やサービスが存在している実物経済の世界に存在するものだからです。

 

 黒田総裁は、緩和の効果がまだ出ていないためだと考えているようですが、そうではありません。

 

 財やサービスが存在しないマネー経済の世界にお金をいくら送っても、もともと財やサービスが存在しないので、物価の上昇しようがないのです。

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