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外国特派員協会は日本の政治に参加した…。

 6月にある先生の政治学入門の授業を受けてから、私の中で政治を見る見方が変わりました。impact

 

 政治というものを形にとらわれず、世の中を動かすパワー(権力)として、徹底的にとらえるようになったのです。

 

 ところで、政治というものをそのようにして見直すと、意外なところに世の中を動かす力があったということに気づかされます。

 

 それは、ひとつは世論です。

 

 世論というものは、その社会によって、力を持っている度合は違いますが、ひとつの社会を動かす力になり得ます。

 

 そしてもうひとつ、意外と気づかなかったことですが、大変なパワーを持っている存在がありました。

 

 それは報道機関です。sign01

 報道機関というものは、世論の形成に影響を与えています。

 

 報道機関は報道する情報を選択することができ、また報道の仕方も選択しています。

 

 報道の仕方というのは、たとえば批判的な姿勢で報道するとか、あるいは肯定的な姿勢で報道するということです。

 

 ほかにもたとえば、中立的な「単なる出来事」として報道するという方法もあるでしょう。

 

 いずれにしても、その報道をとおして社会の人々は、自分たちの社会に何が起こっているのかを知ることになります。

 

 またその報道というのは、普通の人には理解が難しいような専門的なことであれば、報道機関がわかりやすく噛み砕いて伝えてくれるということもあります。

 

 よくよく考えてみれば報道機関という組織は、この時にその社会の政治に参加していたのです。

 

 ただ単純に出来事を伝えるだけでなく、社会に知らせる出来事の分別と、その出来事を情報の受け手側に「どう、とらえさせるか」という、とらえ方の「提案」をしていたようなものでした。

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 このことは、今まではまったく気づかずにいたことですが、実は政治というものを考える上では、大変重要なことでした。

 このことの例としては、
たとえば5月に詩織さんという女性が、元TBS記者の記者にレイプされたと主張して記者会見を開いたことについて、外国特派員協会からは記者会見を拒否されていたという事例があげられます。

 

週刊現代の報道では、拒否された理由としては外国特派員協会の「報道企画委員会」の所属記者たちから、「特派員協会は、犯罪告発の場ではない」、「犯罪は証明されていないし、相手は有名なジャーナリストだ」、「彼女は外国メディアに報じさせて男に復讐しようとしている。協会の品位を損なう」などという意見が出されていたそうです。

 

 そして同協会、報道企画委員のひとりであるデイビッド・マクニール記者の弁明によると、『安倍政権に影響が出る話かどうかが重要。それには時期尚早だと思った』とのことですが…。

 

 報道機関もまた、政治に関わるひとつの権力であるという見方でこの出来事を見直してみれば、この弁明は論理がとおっていないと思います。

 

 というのは、ここで外国特派員によって報道がされていれば、それが逆に安倍政権に影響を与えていた可能性も考えられるからです。

 報道機関が、自分たちの世論に影響を与える力について、認識がないということはないでしょう。

 自分たちの社会に対する役目を十分理解した上で、先ほどのデイビッド・マクニール記者の弁明はあるはずです。

 

 この記者会見がなされたかどうか、またそのことによって報道がされたかどうかのポイントは、私は詩織さんという女性が本当にレイプされたかどうかという問題ではないと考えます。

 

 詩織さんという女性がレイプされたかどうかは、記者たちにとっては疑惑にすぎないとしても、その出来事に関して一度は逮捕状が出されたにも関わらず、その後に取り消されているということの方が問題です。

 

 そしてその加害者とされる人物が政権に近い人物であり、逮捕状を取り消した人物もまた政権に近い人物であったということは、もはや日本の社会の在り方に関する大きな問題です。

 

 この問題は、日本が法治国家であるのか、ないのか?

 また日本という国は、レイプという人権侵害に対して、どのような姿勢で向き合う国なのかを明確にする上でも、大変重要な問題でした。

 日本という国が、昔からレイプという犯罪を容認してきた国であり、その加害者への捜査の方法、逮捕するかどうかの判断を政権が決めてきたという国であれば、この問題はわざわざ外国特派員協会で記者会見を開くほどのことではなかったかもしれません。

 

 それは「日本に起こっている、よくある出来事」に過ぎないから、ということになります。

 

 でも詩織さんという女性がこの出来事について、外国特派員協会での記者会見を要請したのは、この出来事が単なる個人の問題ではなく、日本という国に起こっている変化を知ってほしかったからでもあるはずです。

 

 日本という国が法治国家でなくなりつつあるかもしれない。

 

 また今後の日本は、政権に近い人物であれば、犯罪行為があっても逮捕されないという国になっていくのかもしれない。

 

 この点も視野に入れて、詩織さんという女性の記者会見の要請を考えてみれば、それは十分に外国特派員という立場の人たちにとっては、意味のある記者会見となっていたのではないでしょうか?

 

 それとも、この外国特派員協会という組織の対応から考えると、正直に言うと私はまったく別の見方も考えてしまいます。

 

 それはつまり、日本という国はもともと、欧米諸国からは、法治国家とはみなされていなかったのではないか?とか、あるいは欧米諸国からしてみたら、たいして重要な国でもなかったのではないか?とも思えてしまうのです。

 

 G7に加盟しているなどということで、日本人のひとりとしてはすっかり「日本という国はアジアの国の中では唯一、欧米と対等に扱われている国だ」とも思っていたのですが、本当はまったくそんなことはなく、もともと「単にお金を持っているだけの、法治国家もまともに運営できない国だ」と思われていたのではないかと心配になってきます。sweat01

 そうした私の、日本という国の政治が欧米諸国からはどう見られていたのか?という、日本人としての心の揺らぎは、今は置いておきたいと思いますが…。

 

 とにかくこの出来事は、私が最近、政治というものを、権力という視点から考える上では、大変わかりやすい事例となりました。

 

 私の結論で言いますと、外国特派員協会は日本の政治に参加したのです。

 

 それは、日本の政治に圧力をかけたということでなく、単純に「政治に影響を与えるかもしれない出来事を報道しない(報道につながる機会を拒む)」という方法でさりげなく、世論に影響するかもしれなかった力を消滅させ、政治に参加をしたのです。

 

*リンク先はリテラの詩織さん記者会見の記事です。

http://lite-ra.com/2017/05/post-3203.html

 

*リンク先はShare News Japanというサイトの、週刊現代の記事に対するネットの反応です。

http://snjpn.net/archives/23453

 

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